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射撃競技

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IMG_1312.jpgクレー射撃(クレーしゃげき)とは、散弾銃を用いて、空中などを動くクレーと呼ばれる素焼きの皿を撃ち壊していくスポーツ競技。

トラップやスキートなど、いくつかの種目に分かれており、それぞれの種目のルールも様々である。
クレーの形状は通常直径15 cmほどの円盤型で、投射機を用いてフリスビーのように空中に射出し射撃の標的とする。使用されるクレー(クレーピジョンとも呼ばれる。昔は生きた鳩を放して標的としていた事にちなむ)は、その名の通り粘土の焼き物でオレンジなど視認しやすい色で着色されている。また、中空の内部に着色粉が詰められ破砕されたときに粉が広がって確認しやすいパウダークレーもあるが、そのコストや放出時に出割れになりやすい等の問題もあり、近代オリンピックや公式競技のファイナルラウンドで使用される事が多い。


=== トラップ ===
射手は横一線に配置された5箇所の射台(しゃだい)を順に移動しながら1ラウンドにつき25枚の皿を撃破する。
射手の前方15 mに配置された15台の放出機からは、遠方に向けて右(10枚)、ストレート(5枚)、左(10枚)の計25枚のクレーがランダムに放出される。射手は1枚のクレーに対し2発以内で撃破することが求められ、1発目(初矢、しょや)、または2発目(二矢、にのや)で命中できれば得点となる。なお、オリンピックや世界選手権クラスの大会では、25点満点が連続して勝負が付かない場合には、2発目の発射が認められず失中を出した段階で退場となっていく'シュートオフ'と呼ばれる特殊ルールの元で勝敗が争われる。

トラップ競技は基本的にはクレーが射手から離れていく「追い矢」のクレーを撃つ事になる。射場の地形やその時の風向きにより同じ方向に放出されたクレーでも風に煽られて急激に上昇したり、逆に失速して弧を描くように落ちる場合もある為、進路の予測は決して容易な事ではない。

使用する弾は24gの7 1/2号(7半)が一般的であり、1枚辺り2発撃つ事が認められている関係上1ゲーム当たりの弾の消費量は最低で25発、最大で50発となる。この為他の競技と比較してクレーの枚数当たりの弾の消費量が多くなりがち(必然的に練習に伴う費用も多くなりやすい)となり、全ゲーム終了後の残弾の発生数も多くなりやすい。


==== ダブルトラップ ====
基本はトラップと同じであるが、一つの射台から二つのクレーが同時に放出され、2発装填した散弾銃で2枚のクレーを同時に射撃する事になる。1ゲーム辺り25回の射撃機会で50枚のクレーを撃つ。アテネオリンピックまではオリンピックの正式競技であったが、現在では男子選手のみの競技となっている。使用する銃は基本的にはトラップと同じであるが、1発目をかなり早期に撃つ関係上1発目を24gの9号、2発目を24gの7 1/2号(7半)を用いる事が多い。

==== トリプルトラップ ====
基本はトラップと同じであるが、一つの射台から三つのクレーが同時に放出され、3発装填した散弾銃で3枚のクレーを同時に射撃する事になる。必然的に半自動散弾銃やポンプアクション散弾銃などの3発以上装填可能なものに参加可能な銃が制限される為、あまり一般的な競技ではない。

==== アメリカントラップ ====
アメリカで独自に発展した競技。射手は5箇所の射台を順番に移動して射撃を行うが、クレーが放出されるのは中央の3番射台からのみで、放出方向は完全にランダム、1つのクレーに対して1発の射撃しか認められていない。その為、アメリカントラップ専用の射撃銃は元折単身銃などの1発のみ装填可能な銃を用いる事が一般的である。

=== スキート ===
直径約36 mの半円形に配置された射台から射撃を行う。クレーは円の直径の両端に配置された2箇所の標的射出棟(左側がプール、右側がマークと呼ばれる)から1枚ないし2枚同時に射出される。トラップと異なり、スキートは1枚のクレーに対し1発しか撃てず、8箇所合計で1ラウンド25回射撃する事になる。射手は円弧上の7箇所と円の中心の合計8個所の射台から順に射撃を行うが、それぞれの射台で射撃回数が異なり、またトラップには無いダブル射撃(プールとマークから計2枚のクレーが同時に投射される)との組み合わせになっている。

使用する弾は24gの9号を先矢・後矢共に用いる。1枚のクレーに対し1発しか撃てない関係上、シングルトラップと比較して1ゲーム当たりの弾の消費量は少なくなる傾向があるが、ダブル射撃の際には射台によってプール、マークのどちらのクレーを先に射撃するかが決められており、この順番を間違えてしまった場合(逆撃ち)や、1発の弾で2枚のクレーを撃ち落としてしまった場合(同射)には再度撃ち直しとなる為、プレーの際には多少なりとも予備の弾を用意しておく事が望ましい。

各射台から放出されるクレーの組み合わせはその国や年代によって様々である。プール、マーク共に射出される高さが異なるクレー放出器が二台(高い方がハイハウス、低い方がローハウスと呼ばれる)用意されており、この射出される高さもルールによって細かく調整されている。

日本独自のルール(ジャパンルール)では日本国内での鳥猟に多いシチュエーションを想定して、射手に対して向かってくるシングルクレー(向かい矢のシングル)が多い。国際ルール(ISSFルール)はジャパンルールと異なり、向かい矢のシングルが無く、現在では射手に対して離れていくシングルクレー(追い矢のシングル)にダブルクレーが各射台に必ず一回づつ組み合わされている。

スキートはトラップと比べて射場が狭く風の影響を受けにくい事や、放出されるクレーの位置や角度がある程度固定されている事から、クレーの進路の予測自体はトラップよりも容易であると言われている。しかし、国際ルールでは射手はコールの前には予め銃を腰の高さまで下げておき、コール後にクレーが放出されると同時に腰まで降ろした銃を持ち上げて肩に付ける挙銃動作を行う事が義務付けられている。国際ルールではコールからある程度の時間をおいてからクレーが射出される'タイマー'が設定される事が一般的で、タイマーの動作秒数は完全なランダムの為にコールから挙銃動作に至るまでには高い集中力が要求され、難易度が高まる一因ともなっている。なお、タイマーはゲームに参加する参加者の練度によっては秒数を予め固定するルールや、タイマー自体を無効化する'ノータイマー'が用いられる事も多い。

この競技もオリンピックや世界選手権クラスの大会では、25点満点が連続して勝負が付かない場合が多い為、既存の国際ルールが何度も改変され、次第に難易度の高いダブルクレーの割合が増えてきた経緯がある。

=== フィールド ===
フィールドスキート、フィールドトラップの二種類の競技があり、海外では文字通り自然の地形内にランダムに設けられたクレー放出器から放出される様々なクレーを実猟の獲物に見立てて撃つスタイルが一般的であるが、日本においては[[猟友会]]の実猟練習向けに一般のスキート・トラップのルールをやや簡素化した独自ルールで行われる競技を指す場合が多い。

=== ラビット ===
[ウサギ]などの小動物猟の練習を想定した競技であり、射手は射台前方の左右に設けられたトンネルから垂直に転がり出てくるクレーを射撃する。地面を転がるクレーの速度はその時々で千差万別であり、射場の地形によってはクレーが跳ねたり左右に蛇行することもあるため、進路の予測はそれほど単純ではない。

この競技で用いられるクレーは'空を飛ぶのではなく地面を転がっていく'為、一般の競技で用いられる皿形クレーではなく、縁の部分が強化されたI字断面を持つ盆型クレーが用いられる。日本ではこの競技が行える射撃場自体があまり多くない為、あまり一般的な競技ではない。

== 外部リンク ==
* [http://www.jctsa.or.jp/ 社団法人日本クレー射撃協会]


precisionpic2.jpgライフル射撃は、ライフル銃またはピストルを使用し、固定された標的に対して射撃し得点を競うスポーツ。

== ライフル種目 ==
ライフル銃、またはエア・ライフル[空気銃]を使用して行う競技である。
ここではオリンピック等で行われるISSF系の競技について解説している。
日本ではこれが主流であるがそれ以外にも様々な団体によって独自のルールにより競技が行われている。

=== 使用する銃 ===
すべての銃で、連射が可能なものはない。また、原則的にレンズおよびプリズムを使用した[スコープ|光学照準機]の使用は禁じられており、マイクロサイトと呼ばれるピープ(覗き穴)式の精密照準器を使用する。高齢者対象の競技(マスターズクラス)に限っては、拡大鏡(1.5倍)装備の照準器の使用が認められている。
また、国内で所持に関して日本体育協会からの推薦を得、公式戦に出場するには日本ライフル射撃協会の認定銃である必要があり、5年間有効の銃器公認シール(有料)を貼付しなければならない。認定銃については日本ライフル射撃協会のホームページで確認できる。

* スモールボア・ライフル
** [[口径]]5.6mm(22口径、弾種は22ロングライフル[実包]のみ)の競技用ライフルである。小口径であるため、'''スモールボア'''( Small Bore :小口径)と呼ばれる。競技専用であるためパームレストなどの特別なアクセサリーをつけられるようになっている。ボルトアクション式。標的が50メートル先にある競技のみ行われる。[バイアスロン]に使用される銃もスモールボアである。
* ビッグボア・ライフル
** 口径最大8mmの競技用ライフルである。形状はスモールボアとほぼ同じであるが、より大口径であるため威力も大きい(国内ではリムファイヤである22ロングライフル実包以外のセンターファイヤー実包を使用するライフルはすべて大口径として扱われる為、22口径の大口径ライフルも存在する)。使用できる射撃場が限られているため、日本での競技人口は極めて少ない。標的の距離は原則として300メートル先であるが、国内では射撃場の制約等から、それより短い距離で行われる場合もある。2010年までにオリンピック競技には採用されたことはない。
* [エアライフル]
** 口径4.5mmの空気銃である。玩具であるエアガン[エアソフトガン]とは異なり、所持には各都道府県[[公安委員会]]の許可が必要な実銃である。ポンプ式、圧縮空気式、スプリング式、炭酸ガス式があり、現在では圧縮空気式(プリチャージ式)が主流である。標的が10メートル先にある競技のみ行われる。
* [ビームライフル]
** 引金をひくと可視光線を発する光線銃である。光の当たった位置で得点を判断する、特別な標的を使用する。標的が10メートル先にある競技のみ。ライフル型「ビームライフル」と拳銃型の「ビームピストル」がある。銃に関する規制の厳しい日本で、射撃協議の普及のために開発された。そのため日本でしか行われていなかったが、近年では鉛汚染に対する懸念などから、2012年の近代五種の射撃に採用が決定するなど、わずかだが広がりを見せている。
近年ではより高精度の『デジタル・シューティング』が広まりはじめ、ピストルのみだが、国体でも採用されている。使用される「デジタル銃」は、競技用の空気銃をベースにしており、競技普及以外に技能向上としても注目されている。

=== 標的 ===
基本的に紙製で、大きさは競技によって異なる。着弾点が中心に近いほど高得点であり、一発につき10点が最高点である。なお、決勝が行われる場合、得点は0.1点単位まで判定され、この場合は最高点が一発につき10.9点である。オリンピック等の国際大会では、'''電子標的'''と呼ばれる、着弾と同時に得点が判明する装置を使用する。

=== 電子標的 ===
ゴム製、もしくは紙製のロールを標的面に使用し、着弾音をセンサーで読み取り、コンピュータで着弾座標を演算(理論上の採点誤差は、0.02点程度)することによって、点数表示をする標的である。着弾点が手元のモニターに表示される為、
*射手が監的スコープ(着弾点確認用の[[望遠鏡]])を必要としない。
*自動集計により審査が省力化できる。
*観客が競技趨勢を把握できる。
といったメリットがある。

=== 射撃姿勢 ===
ライフル銃競技の射撃姿勢は三つに分かれている。
* 伏射 (ふくしゃ: Prone )
** 伏せて銃を構える射撃姿勢である。最も安定した姿勢である。
** スリングと呼ばれる、革製あるいは合繊製のベルト様の姿勢保持器具の使用が認められる。
* 立射 (りっしゃ: Standing )
** 立って銃を構える射撃姿勢である。安定しない射撃姿勢であり、三姿勢のうちもっとも難しい。
** スリングの使用は認められない。
* 膝射 (しっしゃ: Kneeling )
** 片側の足を膝立て、膝の上に腕を置いて構える射撃姿勢である。伏射の次に安定した姿勢である。この姿勢のみでの競技は国民体育大会でしか行われておらず、専ら三姿勢の混合競技で行われるのみである。
** スリングの使用と、足首を安定させる為のロール(枕様の器具)の使用が認められる。

* ビームライフル競技専用だが、肘射(Table)という射撃姿勢も存在する。
** 文字通り、テーブル上に両肘をつけた状態で射撃を行う姿勢である。
** スリングの使用は認められない、また両肘以外をテーブルにつけてはいけない。

=== 競技種目 ===
==== オリンピック・ワールドカップで行われるISSF種目 ====
===== 男子種目 =====
* 50m3×40M(50mスモールボアライフル3姿勢120発競技)
** スモール・ボア・ライフルを使用し、伏射・立射・膝射の三姿勢につき各40発合計120発で争われる競技である。競技時間は三時間を超え、もっとも過酷な種目である。平成19年9月現在の日本記録は1172点、世界記録は1186点である。
* 50mP60M(50mスモールボアライフル伏射60発競技)
** スモール・ボア・ライフルを使用し、伏射60発で争われる競技である。安定した姿勢で行われるため、高得点での争いとなり、600点満点が出ることもある。国内大会では男女混合で行われることも多い。平成19年9月現在の日本記録は599点(屋内)である。屋外での記録(598点)の最古の物は女性が樹立している。
* 10mS60M(10mエアライフル立射60発競技)
** エア・ライフルを使用し、立射60発で争われる競技である。600点満点が出ることもある。国内大会では男女混合で行われることも多い。平成19年9月現在の日本記録は597点である。

===== 女子種目 =====
* 50m3×20W(50mスモールボアライフル三姿勢60発競技)
** スモール・ボア・ライフルを使用し、伏射・立射・膝射の三姿勢につき各20合計60発で争われる競技である。国内大会では男女混合で行われることも多い。平成19年9月現在の日本記録は585点、世界記録は594点である。
* 10mS40W(10mエアライフル立射40発競技)
** エア・ライフルを使用し、立射40発で争われる競技である。400点満点が出ることもある。平成19年9月現在の日本記録は399点である。
==== その他の種目 ====
* 10メートルライフル三姿勢60発
** エア・ライフルを使用するほかは、50メートルライフル三姿勢60発と同様である。競技として行われることは比較的少ない。平成19年9月現在の日本記録は593点である。
* 10メートルライフル伏射60発
** エア・ライフルを使用するほかは、50メートルライフル伏射60発と同様である。600点満点が数多く出ており、1競技で複数の満点記録者が出る事もある。電子標的の普及から、0.1点刻み(10.9点満点)の60発競技を行う事もある。
* 300メートルライフル三姿勢120発
** ビッグ・ボア・ライフルを使用するほかは、50メートルライフル三姿勢120発と同様である。平成19年9月現在の日本記録(1142点)は女性が保持している。世界記録は1181点である。
* 300メートルライフル伏射60発
** ビッグ・ボア・ライフルを使用し、50メートルライフル伏射60発と同様である。600点満点が出ることもある。平成19年9月現在の日本記録は596点である。
* 300メートルライフル三姿勢60発
** ビッグ・ボア・ライフルを使用するほかは、50メートルライフル三姿勢60発と同様である。平成19年9月現在の日本記録は557点、世界記録は589点である。


== ピストル種目 ==
ピストル、またはエアピストル(空気けん銃)を使用して行う競技である。日本ではピストルの所持に関する規制が非常に厳しいため、競技人口は極めて少なく、ほとんどが警察官か自衛隊員だが、民間人の選手もわずかに存在する。

=== 競技種目 ===
==== オリンピック・ワールドカップで行われる種目 ====
===== 男子種目 =====
* 50メートルフリーピストル60発
**平成19年9月現在の日本記録は576点、世界記録は581点である。
* 25メートルラピッドファイヤーピストル60発
**平成19年9月現在の日本記録は586点、世界記録は591点である。
* 10メートルエアピストル60発
**平成19年9月現在の日本記録は591点、世界記録は593点である。

===== 女子種目 =====
* 25メートルスポーツピストル60発
**平成19年9月現在の日本記録は589点、世界記録は594点である。
* 10メートルエアピストル40発
**平成19年9月現在の日本記録は393点、世界記録は393点である。日本記録は国内競技での樹立である。

== 外部リンク ==
[http://www.riflesports.jp/ 日本ライフル射撃協会]


200px-Torino_2006_Jeremy_Teela_standing.jpgバイアスロン(biathlon)とは、クロスカントリースキーと、ライフル射撃を組み合わせた競技である。バイアスロンは二種競技を示すラテン語で「2」を意味する接頭辞'bi'に'athlon'(競技)を合成した造語。

==歴史==
バイアスロンの原型は、スキーで野を駆け回り、銃で獲物を撃つ冬の狩猟であり、これが後に[雪中戦]や[森林警備隊]の技術として用いられるようになった。競技としては、18世紀後半にスウェーデンとノルウェーの軍人が行ったのが始まりといわれている。

その後[[1861年]]になって、ノルウェーで、それまでの狩猟や戦闘技術として用いていたことを、スポーツとして行い、民間レベルの国家防衛力向上のために世界初のスキークラブ、[トリンシルライフル・スキークラブ]が設立された。

競技としては、1924年シャモニー冬季オリンピックで軍事偵察競技(ミリタリーパトロール[military patro])というスキー登山も含めた競技が公開競技として行われた。その後、オリンピックで3回行われた以降は実施されていない。

その後のオリンピックで、男子は1960年スコーバレー冬季オリンピック、女子は1992年アルベールビル冬季オリンピックから正式種目となった。現在に至るまで、多くのルール改正があったが、一番大きなものは1976年に7.62mm NATO弾[30口径ライフル弾]を使用する大口径銃(射距離150m)からライフル射撃で使用する銃[22口径競技用ライフル弾]を使用する小口径銃(射距離50m)に変わったことである。


==解説==
競技種目は、個人(インディビデュアル)、個人追い抜き(パシュート)、スプリント、リレー、ミックスリレー、マススタート(一斉スタート)、スーパースプリントクオリフィケイションファイナルの7種から成る。

ライフル射撃は射撃位置と的の間が50mあり、スキーで走り込んでから射撃を行う。この際、[心拍]、[呼吸]ともに乱れた中での精密射撃が求められる。[銃刀法]の問題もあって、日本の競技者は自衛隊員である陸上自衛隊冬季戦技教育隊の隊員がほとんどであるが、少数の民間人競技者もいる。銃を扱うことから、世界的に見ても競技者は軍隊、警察、国境警備隊等に所属している競技者が多いが、欧州においては、学生や会社員などの民間人や、賞金レースで稼ぐプロ競技者も多い。特に発祥とされる北欧諸国ではシーズン中は毎週のようにレースがあるなど環境が整っているため、競技者の量、質共に充実している。
[1998年長野冬季オリンピックで冬季戦技教育隊の高橋涼子が6位入賞しているが、それ以降はこの成績を越えるものはいない。2010年バンクーバー冬季オリンピックでは、「マタギの孫娘」という冬季戦技教育隊の鈴木芙由子が競技歴3年でありながら出場したことからも、射撃の才能が必須の競技といえるが、オーレ・アイナル・ビョルンダーレンのように、高くない射撃の得点をスキーで挽回する選手もおり、本人の特質にあったやり方が重要である。

国際的には競技用ライフルを使用するが、日本国内では自衛隊のライフル(64式小銃、89式小銃)を使用する大会がある。競技ルール的には「一般銃」と分類され競技用ライフル選手とは別に競技が行われる。選手は自衛隊員であるが競技人口は競技用ライフルの選手と比べ多い。大会には陸上自衛隊の北部方面隊および東北方面隊所属の普通科連隊、特科連隊および海上自衛隊等のチームが参加している。

競技用ライフルの弾倉には5発が装填でき、各射撃でも5発を射撃する。しかし、リレー、ミックスリレー、スーパースプリントクオリフィケイションファイナルでは予備弾3発の使用が許されている。そのため、ライフル本体に弾倉を4個、予備弾数発を収納できるような構造になっている。「一般銃」においては、安全管理上の問題から、弾倉を携行せずにスキー滑走となる。


基本的に冬季競技だが、夏季においてはスキーをローラースキーに換えた「ローラースキーバイアスロン」、スキーではなくランニングによる「ランニングバイアスロン」が行われる。海外では一般的な競技であるため、「マウンテンバイクバイアスロン」、「オリエンテーリングバイアスロン」、スノーシューと[マズルローダー|先込め式銃]を使用した「プリミティブバイアスロン」、アーチェリーを使う「アーチェリーバイアスロン」など、多数の変種が存在する。特に「アーチェリーバイアスロン」は、銃規制が厳しい国の人間にとって参加のハードルが低くなるため、各国で広まりを見せており、日本においても少数ながら競技選手がいる。

なお、バイアスロンは[国際スキー連盟]には属さず、オーストリアに本部を置く[国際バイアスロン連合]という独自の組織を持つ。ゆえに日本国内の競技者も[全日本スキー連盟]には属さず、[日本近代五種・バイアスロン連合]に所属している。

==種目==
* 個人:男子20km、女子15kmで4km(女子は3km)を5周し、伏射、立射、伏射、立射の順で合計4回の射撃を行い、外した弾1発につき走行タイムに1分が加算される。
*個人追い抜き:男子12.5km、女子10kmで2.5km(女子は2km)を5周し、伏射、伏射、立射、立射の順で合計4回の射撃を行い、外した弾1発につきペナルティループを1周する。なお、スタートの際、前もって行ったスプリントの順位でスタートし、ゴールのタイム差でスタートのタイム差が決定される。スプントで1位の5秒遅れで2位ゴールの選手は、1番目の5秒遅れでスタートし、前方の選手を追い抜かさなくては勝利できない。スプリント3位の選手が2位の10秒遅れでゴールしたのならば、スタートは2番目の10秒後となる。
*スプリント:男子10km、女子7.5kmで3.3km(女子は2.5km)を3周し、伏射、立射を合計2回の射撃を行い、外した弾1発につきペナルティループを1周する。
*リレー:男子7.5km、女子6kmを4人でリレーする。2.5km(女子は2km)を3周し、伏射と立射を2回行う。外した場合は予備弾として各射撃ごとに3発までの使用が許されているが、外した弾1発につきペナルティループを1周する。
*ミックスリレー:男子2名、女子2名の4名混合であり、ともに6kmである。2kmを3周し、伏射と立射を2回行う。外した場合リレーと同様に予備弾3発の使用が許されているが、外した弾1発につきペナルティループを1周する。しかし、ミックスリレーは、世界選手権大会のみでしか実施されていない。
*マススタート:個人の一斉スタート方式であり、スタート直後は選手間の接触、転倒が多く見られる。男子15km、女子12.5kmで、3km(女子は2.5km)を5周し、伏射、伏射、立射、立射の順で合計4回の射撃を行い外した弾1発につきペナルティループを1周する。
*スーパースプリントクオリフィケイションファイナル:予選で男子3.6km、女子2.4kmで1.2km(女子は0.8km)を3周し、伏射、立射を行う。ペナルティーが出た時点で失格であるが、予備弾3発の使用が許されている。決勝では、男子6km、女子4kmで、1.2km(女子は0.8km)を5周し、伏射、伏射、立射、立射の順で合計4回の射撃を行う。予選と同様、ペナルティーが出た時点で失格であるが、予備弾3発の使用が許されている。しかし、非常にエキサイティングな種目ではあるが、オリンピックでは採用されていない。

順位は、個人追い抜きは着順のままであり、個人は滑走所要タイム+ペナルティタイムの総合タイム。それ以外の種目は滑走所要タイムで決定する。

==競技規定==
*スキー:最短が競技者の身長、最長で230cm
*射座から標的までの距離:50m
*標的:伏射が直径45mm、立射が直径115mmの的5つ
*ペナルティループ:1周150m
*ライフル:22口径(5.6mm)の[ライフル射撃|スモールボアライフル]、重量約3.5~5kg





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